事業期間:2012年度〜2016年度

2015.06.15 │ voiceチームで学ぶ、学年・地域を超えた交流~クラウドコンピューティング分野~

2014年度、enPiT 受講生と先生へのインタビュー特集。クラウドコンピューティング分野からは、大阪大学と神戸大学を中心に西日本の大学が参画する「Cloud Spiral」 に参加された山桝大祐さん(京都産業大学大学院先端情報研究科先端情報専攻)、鷹取敏志さん (神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻)、大河原修さん(神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻)、雑賀翼さん(大阪大学大学院情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻)、谷川博哉さん (和歌山大学大学院システム工学研究科システム工学専攻)、また、先生を代表して、柗本真佑先生(神戸大学大学院システム情報学研究科 特命助教)と佐伯幸郎先生(神戸大学大学院システム情報学研究科 特命助教)にお話を伺いました。

enPiTをどこで知りましたか?

鷹取さん:所属研究室の先生がCloud Spiralに参加されていて、その先生からenPiTについて聞きしました。

大河原さん:大学院入学時のガイダンスでこのコースの案内がありました。その後、鷹取君が所属する研究室の先生と実際にお話をさせていただき、このコースを受講することを決めました。

山桝さん:私も大学院の最初の学期で行われたセミナーでした。

雑賀さん:私はenPiT代表である大阪大学の井上先生の研究室に所属しています。井上先生から直接このコースを教えていただきました。また、研究室の先輩からも、良い内容なので受けてみたらという助言をいただきました。

谷川さん:私の所属研究室の先生もenPiTに参加されています。また、先輩がこのコースを受講しており、その様子を見ていて、面白そうだなと感じていました。実際、先輩からは「刺激をもらったよ」、「自分の学科には無いことができる」、「忙しいけど面白かった」という話を聞かせてもらいました。

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山桝大祐さん 鷹取敏志さん 大河原修さん

受講前にどのようなことを期待していましたか?

雑賀さん:座学でなく実践に近い、たとえばチーム開発力を身に付けられるのかなという漠然とした期待を持っていました。

大河原さん:学部は神戸大学で情報知能工学科に所属していました。入学前はプログラミングをバリバリこなすところというイメージを抱いていたのですが、実際には情報学や数学といった理論中心の講義が多かったです。もっとプログラミングをしたいという希望があったことと、クラブ活動などの経験から、チームマネジメントの方法にも興味があり、enPiTではいずれも学べると聞いて参加することにしました。

鷹取さん:僕も大河原君と同じように、プログラミングが好きでenPiTに参加しました。また、他大学の学生や先生との交流にも期待がありました。

山桝さん:受講を決めた最大の理由は他大学の人との交流でした。また、チーム開発をenPiTで体験できることも期待した点です。

受講を決めた時に不安なことはありましたか?

山桝さん:講義や演習についていけるかどうかが不安でした。しかし、基礎から先生がしっかり教えてくれるので、その不安もいつの間にか消えていました。

大河原さん:遠方から参加する学生にとって、旅費等の費用負担は大きな問題です。ある大学の学生は、旅費の一部を自己負担していたと聞いています。

谷川さん:今年度から旅費が支給されたので、不安はかなり取り除かれたと思います。昨年度までの先輩は毎回の電車費を払ってらっしゃったそうです。

大河原さん:今年度の募集の説明の際に「交通費出ます」「合宿はあるけれど食事代だけで宿泊費は出ます」と、きちんとした説明があり、その点については不安にはなりませんでした。

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雑賀翼さん 谷川博哉さん

普段はどのようにコミュニケーションを取られていたのですか?

雑賀さん:週1回程度、大阪大学に集まって打ち合わせを行い、それぞれ持ち帰っての作業となりました。また、研究室や自宅からオンラインでコミュニケーション取りながらPBLを進めていました。オンラインでは、Google ハングアウトを良く利用しましたね。

鷹取さん:私達の場合、夜10時頃からミーティングを行っていました。日中は授業やTAで忙しかったためです。遠隔でしたが、全員そろってミーティングできたことは良かったと思います。

受講されたコースの評価は?

谷川さん:100点満点です! プログラミングを行うこと、人的交流、プロジェクト管理、会議運営など、当初の期待はすべて達成できたと思います。個人的には110点をつけたい気持ちです。

雑賀さん:97点です。期待以上のこともあり、100点をつけたいところですが、合宿の場所(六甲山)に若干不満が残りました。インターネット環境が十分とはいえず、講義・演習にも影響が出てしまったからです。クラウドを学ぶにはネットワークは重要ですからね。

大河原さん:80点です。思い描いていた開発が十分にできなかったためです。開発よりもプロジェクトマネージメントやプレゼンテーションにかける時間が多かったですね。しかし、技術レベルの高い集まりの中で、普段ではなかなかできない議論を実施できました。また、プロジェクトマネージメントやプレゼンテーション能力も向上したことを実感し、十分に満足のいく内容でした。

鷹取さん:90点です。一年間で3つのチームを経験してきたわけですが、今回のチームが最も効率よく取り組めたと思いました。残念な点は、コースの最後の方でビジネス化の話題が出てきたのですが、できればもっと早くこの話題には触れて欲しかったです。

山桝さん:僕も90点です。自分が期待していた他大学の学生や先生方とのコミュニケーションを取りながら、開発を行うことは達成できたと思っています。すごい仲間といっしょにできたことは大きな財産です。一方で、本当に忙しかったです。学会、コンテストへの参加や、もちろん研究室にも行かなければならず、移動が結構たいへんでした。

最後に、enPiTのどのような点をオススメしますか?

山桝さん:Cloud Spiralを受講して一番感じたことは、すごい人に巡り会えたことです。そういう機会を与えてくれる場としては一押しです。

鷹取さん:いいチームに恵まれる可能性があることを伝えたいですね。このチームは最高でした。

谷川さん:新しい発見が多く、実践的でもあり、大いに勉強になるよと伝えたいですね。

雑賀さん:チームでの開発、一緒に作業をするという貴重な経験が得られる場です。他ではできないと思っています。

大河原さん:大学の研究室とは違うコミュニティに参加できるという点と、プレゼンテーションや会議といった、相手がいないと成立しない教育が受けられるという点を押したいですね。

続いて、Cloud Spiral に携わる先生に、2014年度の活動を振り返っていただくとともに、enPiTクラウドコンピューティング分野としての今後の抱負をお聞きしました。

ご専門の分野について教えてください。

柗本先生:専門はソフトウェア工学で、特に、実証的ソフトウェア工学(エンピリカルソフトウェア工学)やWebマイニングに関する研究に携わっています。

佐伯先生:柗本先生と同じく神戸大学に所属しています。以前はデジタル信号処理を専門としていました。enPiTの前身であるIT Spiral時代からソフトウェア工学教育に関わっています。

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佐伯幸郎先生 柗本真佑先生

Cloud Spiralでの役割を教えてください。

柗本先生:前期はUMLの講義を担当しました。後期は3つのPBLの内,ビッグデータとWebアプリ開発の2つのPBLを担当しました。

佐伯先生:前期はソフトウェアテストに関する講義に関わっていました。高知工科大学の高田先生が講義そのものを担当され、そのサポートでした。インフラ系の演習環境を整えたり、合宿ではスケーリングやクラウドの講義・演習を担当しました。PBLに関しては、全般的に環境構築をサポートする立場でした。

成果発表会はとても楽しかったです。Cloud Spiralの雰囲気なのですか?

柗本先生:毎年、楽しい雰囲気がありますね。学生の資質もあるでしょうが、教員と学生の関係が友達のような関係にあるからかもしれません。私自身も柔らかめのプレゼンを心がけており、普段から学生の飲み会に参加するなど、できるだけ密なコミュニケーションを図るようにしています。

佐伯先生: Cloud Spiralは教員が積極的に関わっており、教員同士のコミュニケーションも密にとれています。サポート体制もしっかりしていますね。また、研究室の指導の先生が厳しくてCloud Spiralに参加しにくいという雰囲気もないですね。学生同士がつながりやすくなっている環境ができていると思います。

柗本先生:ただ、今年の成果発表は、ちょっとやりすぎたかもしれません。今年度はポスター3枚を作って、ショットガンプレゼンの資料も作成と、学生にはちょっと重荷だったかもしれません。

佐伯先生:準備期間は、ほぼ2週間でしたから、来年度は要検討事項だなと思いました。

Q2:合宿は大変だったと聞きましたが。

柗本先生:2013年度は2回の合宿を大阪の中之島センターで実施しました。使用する機材・環境がそろっているということから言えば、最高な状態でしたね。ただビジネスホテルでの宿泊だったので あまり合宿っぽくなかったですね。そこで、2014年度は後期の合宿を六甲山のYMCAで実施しました。実はネットワーク環境が不十分で、これが影響して大変でした。

佐伯先生:クラウドの授業なのにネットワークが繋がらない。これはなかなか致命的でしたね。

今年度は9チームとのことですが、チームはどういう基準で分けられたのでしょうか?

佐伯先生:なるべくいろいろな人とチームを組めるように考慮しました。実際には、年間で3回変更をしています。最初がAグループ、夏合宿の前半がBグループ、夏合宿の後半からCグループとなります。

柗本先生:所属大学が重複しないという観点以外では完全にランダムに分けましたので、メンバーの相性が良くスムーズに作業が進むチームや、逆になかなかうまく行かないチームもありました。

佐伯先生:実際に社会に出ると仲が悪くても仕事をやらざるを得ないことが多々あります。Cloud Spiral の場合は、時間が来ればチームも変わりますので、そういう意味では、良い経験にはなるんじゃないかなと思っています。

多くの連携大学、参加大学が今回関わっていらっしゃいますが、いろいろな大学の学生さんの面倒を見る立場として、苦労された点はありますか?

佐伯先生:若手教員同士がすごく仲が良いこともあって、現場レベルで苦労することはほとんどありません。

柗本先生:同感です。普段お付き合いの無い他大学の学生さんですと名前を覚えるのが大変というくらいでしょうか。全体的に、モチベーションの高い学生が多いですね。自発的にこの教育プログラムを受講するわけですし、強い意志を持っていますね。意志の強い学生がいると、多少やる気がない学生でもやらざるを得ないので、学生同士がお互いに良い刺激を与えている状況が作れています。

企業との連携はいかがでしょうか?

佐伯先生:2014年度は、Amazon、Google、Yahoo、Microsoft といったITの大手企業に協力いただきセミナーを開催しました。また、NTTデータのアジャイル開発の研究紹介や、Scrumやアジャイル開発を実践している企業の方による講義も行われました。

柗本先生:教育内容としてサービスやビジネス という観点も取り入れました。ベンチャー企業の方にも協力いただき、ビジネスの観点から学生に対して助言をいただきました。技術者として技術だけをやっていれば良いという時代ではありませんからね。ビジネスの視点を持つことは重要だと考えています。

佐伯先生:きっかけとして、小さくてもいいので、技術とビジネスの双方から考えることは必要ですね。Cloud Spiralはそういう意味でも良い場だと思います。

次年度の豊富を教えて下さい。

佐伯先生:今年度のCloud Spiralには昨年度の受講生 が積極的にかかわってくれたので、学年を超えた縦の連携ができました。大学間の横の連携も含めて、来年度も縦・横のつながりが広がって欲しいですね。また、enPiTの4分野間で学生交流が深まり、大きなコミュニティができるといいなと思います。

柗本先生:受講生からベンチャーが出ると嬉しいですね。そういう気概のある学生が一人でも多くいて欲しいと思います。

(インタビュー・文 西村一彦、取材日:2014年12月5日)